[メイン2] 香風 智乃 : middle『日常と、非日常』 登場:たま、チノ

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[メイン2] 香風 智乃 : 赤髪学園。

[メイン2] 香風 智乃 : そこは小学校から大学まで全て兼ね揃えてある超巨大マンモス校ということもあり

[メイン2] 香風 智乃 : やはり様々な教師や生徒で賑わっており……。

[メイン2] 香風 智乃 : 私達はそこへ、『生徒』という形で潜入し、情報を集めていた。

[メイン2] 香風 智乃 : そうして、ある程度の時間が過ぎ─────。

[メイン2] 香風 智乃 : お昼休憩。赤髪学園名物の食堂にて。

[メイン2] 香風 智乃 : 「隣、失礼しますねたまさん」

[メイン2] 香風 智乃 : おぼんにカレーライスを乗せ、たまの隣の席へ座る。

[メイン2] 黒鉄たま : 「ん?ああチノですか」

[メイン2] 香風 智乃 : にこ、と笑い、頷く。

[メイン2] 香風 智乃 : 「いやはや……噂には聞いておりましたが、本当に人が多いですねこの学校」
辺りをキョロキョロと見渡す。

[メイン2] 黒鉄たま : 「ですねえ、騒々しいくらい」

[メイン2] 香風 智乃 : そこには、生徒達が楽しげに談笑している風景が広がっており。

[メイン2] 黒鉄たま : ちびちびとジュースを飲みながら。

[メイン2] 香風 智乃 : まさしく、『日常』そのものであった。

[メイン2] 香風 智乃 : 「ふふ、でもたまさんはDJ、でしたよね?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「こういう騒がしいのも慣れていたりするのではないでしょうか?」

[メイン2] 香風 智乃 : 偏見かもですけど。と付け加えておき。

[メイン2] 黒鉄たま : 「そうです!たまはロッポンギが誇る超スーパーメイドDJですからね!」

[メイン2] 黒鉄たま : 「うーん…喧騒には慣れてますが…」

[メイン2] 黒鉄たま : 「正直ここのうるささはびみょいです」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ええ」
頷きながら、カレーを一口パク。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……そうなのですか?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「私はこういう、賑やかな場所、嫌いではありませんが……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……たまさんは、お気に召されない、といった感じでしょうか?」

[メイン2] 黒鉄たま : たぶんここが小中高大一貫だからかもですね、と前置きしつつ。

[メイン2] 黒鉄たま : 「なんだか品行方正っていうか…横一列ではいどーぞ、っていうか…」

[メイン2] 黒鉄たま : 「均整が取れててつまんねーです」

[メイン2] 香風 智乃 : ふんふんと相槌を打ちながら聞き。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ふぅむ、均整が嫌い……ですか」

[メイン2] 香風 智乃 : ストロー付きジュースを少し飲みながら。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ちょっと関係無い話に逸れますけど、私達の"仕事"は、こういった『日常』の均整のためにある……そうですよね?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あまり……今回の任務、乗り気じゃなかったり、ですかね……?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「ん、でもお金を貰ってるですからね、乗り気とかそういうのは、あんまり勘定に入れたくないな、と」

[メイン2] 黒鉄たま : プロですから、と付け加え。

[メイン2] 香風 智乃 : 「ははぁ、お金……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あくまで……ビジネスとして、私達の"仕事"に協力しているわけなんですねぇ」

[メイン2] 黒鉄たま : 「そもそもこいつらの日常とアタシの日常は趣が違いますから」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ほほう」
少し、気になった。

[メイン2] 香風 智乃 : 任務仲間というのもありますし……たまさんの主張する『日常』とは何か……。
純粋な好奇心として、聞きたくなり。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……では、たまさんの『日常』とは一体、どういうものなのでしょうか?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「…まあ別に、あんまし誇って語れるようなもんじゃないですけどね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「もし喋りにくいことでしたら、大丈夫ですよ」
微笑みつつ。

[メイン2] 香風 智乃 : 「でも、私達は一応……今は『仲間』、ですからね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「危ないものでない限りは……私はたまさんの思う『日常』を否定はしませんよ」

[メイン2] 黒鉄たま : はあ…と少しぶーたれつつ。

[メイン2] 香風 智乃 : その様子に、少し微笑み。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……たまさんの思う日常とは、何でしょうか?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「まあ、実家がショボいバーをやってたんですよ」

[メイン2] 黒鉄たま : 「アタシが子供の頃はあんまり治安も良くなくて…ちょっとアウトローな雰囲気が漂う感じでした」

[メイン2] 香風 智乃 : その言葉に、ふむ……と前置きし、会話に頷く。

[メイン2] 黒鉄たま : 「レネゲイドがどうこうとかそういうのもあって…あんまり客行きもよくなく」

[メイン2] 黒鉄たま : 「そんな中でずっと小さい頃からターンテーブル回してて」

[メイン2] 黒鉄たま : 「擦り切れるまで、音楽流してました」

[メイン2] 黒鉄たま : 「まあ一度閉めかけたんですけどね、その店」

[メイン2] 黒鉄たま : 「ご縁が会って、まだ続けてます」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……たまさんは、ご実家、お好きですか?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「ショボいんでさっさと潰れたほうが清々すると思ったんですけどね」

[メイン2] 黒鉄たま : 「まあ少しぐらいは続けてやろうかと、もう好きとか嫌いとかそういうもんじゃねーのかもです」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ふふ、それはきっと……愛着であり、たまさんにとっての大切な……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「─────日常です」
ゆっくりと、頷く。

[メイン2] 香風 智乃 : 「私も、実家が喫茶店なので、たまさんの考えとは通じるものはあります」

[メイン2] 黒鉄たま : 「ああ、そうでしたね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「尤も、私とたまさんとでは境遇の差に違いはありますので……完全に分かり合えると豪語するつもりはありませんが」

[メイン2] 香風 智乃 : 「それも私は、同じくお店を背負う者として……たまさんを尊敬してますよ」

[メイン2] 香風 智乃 : にっこりと笑い。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ただ、これまた一つ、個人的に思ったことなのですが」

[メイン2] 黒鉄たま : 「なんです?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「お店の経営は大事、切っても切り離せない日常だから、そうですよね?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「まーそういうもんです」

[メイン2] 香風 智乃 : 「となれば、私達の"仕事"が加わるとなると……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……とても、忙しいですよね?」

[メイン2] 香風 智乃 : そうして、口元に手を立て、小声で。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……記憶処理して、非オーヴァードとして過ごす道も、無くは無いです、むしろ……そっちの方がより効率的、そうですよね?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……なぜ、たまさんは私達と同じ"仕事"の道を?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「ま、一番はお金ですけどね、アタシくらい何も持ってない中で…オーヴァードである限り最高にお金を稼げるのはありますから」

[メイン2] 黒鉄たま : 「それ以外だとやっぱり…」

[メイン2] 黒鉄たま : 「空気感が合ってたんでしょうね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ほほう、空気感……」

[メイン2] 黒鉄たま : 「いろんな人がいる、雑然とした、思いが入り混じる…」

[メイン2] 黒鉄たま : 「そんな現場の中で、”オーヴァード”であるという音楽で統一されて」

[メイン2] 黒鉄たま : 「フロアで踊り狂う」

[メイン2] 黒鉄たま : 「こんな面白い世界ない、そうでしょう?」

[メイン2] 黒鉄たま : ニヤリと笑って。

[メイン2] 香風 智乃 : その答えに、同じくニコりと笑い。

[メイン2] 香風 智乃 : 「ふふ……たまさんは、この"世界"にもまた、今までにない『日常』を見出しているわけなのですね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「とても立派です」

[メイン2] 黒鉄たま : 「そうするしかなかったともとれるんで、なるようになったですよ」

[メイン2] 香風 智乃 : 「それでも─────たまさんには、"不協和音"が見られませんからね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「さすが、超有能メイドDJ……でしたっけ?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「………」

[メイン2] 香風 智乃 : メイドDJって、なんでしょう……?

[メイン2] 香風 智乃 : 六本木に行ったことないので、全く分かりませんが……。
若者に流行してるジャンルなのでしょうか……?

[メイン2] 黒鉄たま : 「ふふ~ん!アンタもようやくたまの有能さに気が付きましたか」

[メイン2] 香風 智乃 : ……わ、私も勉強しないと、ですね……。

[メイン2] 黒鉄たま : 「でもお金がなければなんでもできないのも事実!」

[メイン2] 黒鉄たま : 「アタシもここにいればセレブと一緒!最高の任務ですよ!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ふふ、では最高の任務に当たっているわけですし、私達で最高の結果、勝ち取っちゃいましょうか?」

[メイン2] 黒鉄たま : その顔はいつものたまに戻っており。

[メイン2] 黒鉄たま : 「ええ…!たまの実力、見せつけてやるです!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ではでは、引き続き調査、進めていきましょうか」

[メイン2] 黒鉄たま : そうして食堂の一番高いメニューを片っ端から注文し始めた。

[メイン2] 香風 智乃 : 「!?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「た、たまさん!?お金……というよりも、お腹に入らないのでは……!?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「ふふふ…こんなにいいものが食える機会…!逃しませんよ…!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「無茶ですよ~~~~!?だめです!めっ!です!!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ほらほら、後ろに並んでる他生徒の方も白い目で見てますよ……!一つにしましょう?ね?」

[メイン2] 黒鉄たま : 「買えない庶民共の視線など気にしません!行きますよ~!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あわわわわわ……!?」

[メイン2] 香風 智乃 : ……ふふ、でも……こういう真っ直ぐなところが……彼女らしいのかもしれませんね。

[メイン2] 香風 智乃 : それなら私も……"お姉ちゃん"として、たまさんの"音楽"に乗ることができたら。
きっと楽しいことになるのでしょうね。

[メイン2] 香風 智乃 : ……でもフロアで踊り狂うにも、もうちょっと場所は選びたいところではありますね!

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[メイン2] 香風 智乃 : middle『難航』 登場:アコ、チノ

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[メイン2] 香風 智乃 : 潜入任務が始まって、さらに時間が経つも。

[メイン2] 香風 智乃 : やはり巨大な学園ということもあり、情報が集まりにくく。
また、施設も多く点在するため、全て回るにも、多くの時間を有することになり……。

[メイン2] 香風 智乃 : 未だにエフェクト反応の発生源を探しきれないまま。
『日常』を装う彼女達に、『非日常』に対する焦りが芽生え始めてきた。

[メイン2] 香風 智乃 : そうして時刻は夕刻。橙色の空が天に広がる。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……アコさん、いかがでしたか、エフェクト反応の発生源と思わしき場所、見つかりましたか……?」
深刻そうな表情で、アコを見上げる。

[メイン2] 天雨 アコ : 「生憎様、ありませんね」

[メイン2] 天雨 アコ : 缶珈琲を啜りつつ

[メイン2] 香風 智乃 : 「そちらも、ですか……」

[メイン2] 香風 智乃 : 同じく、ココアを開け、飲みながら。

[メイン2] 天雨 アコ : 「…焦りますか?」
ちらりと

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ええ、流石にここまで何も見つからないとなると、この学園で過ごす生徒達の皆さんの身に危険が及ぶ可能性が、さらに高まるので……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「アコさんは……落ち着いてらっしゃるのでしょうか……?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「まあ、極論そう焦っても意味はありませんから」

[メイン2] 天雨 アコ : 「それに、こうも表立って探して見つからないと言う事は」

[メイン2] 香風 智乃 : ふむ、とアコを見て。話を聞く。

[メイン2] 天雨 アコ : 「そう派手な行動は出来ない反応である可能性が高いでしょうしね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「なるほど……確かに現状、何か大きな被害に遭った生徒の情報はありませんからね……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……だからこそ、逆に薄気味悪い部分も、ありますけどね……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「まあ、反応というだけですし」

[メイン2] 天雨 アコ : 「あまり重く考えすぎるのは良くないですよ」

[メイン2] 天雨 アコ : コツンと缶で小突く

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ふぅむ……あいたっ」
アコを見て、少し口を結んだような表情を見せながら。

[メイン2] 天雨 アコ : 「レネゲイドの反応を探す理由を再度聞きましょうか」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……で、でもアコさん……最悪の事態は考えておいても……じゃないですか……?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「最悪とは」

[メイン2] 天雨 アコ : 「私たちが手を出す暇もなく被害が出る事です」

[メイン2] 天雨 アコ : 「それはつまりもうこの段階では無いんですよ」

[メイン2] 香風 智乃 : 「レネゲイド反応を探す理由ですか……それはやはり、この大きな学園……多くの『日常』が取り巻くこの環境下で、『非日常』の要素があった場合は、できる限取り除く方向に取り組んだ方がいい、ですからね……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ええ、その通りです」
頷き。

[メイン2] 天雨 アコ : 「まずそれ以前」

[メイン2] 天雨 アコ : 「私たちの仕事は探す事」

[メイン2] 天雨 アコ : 「何が『非日常』かを探す事」

[メイン2] 天雨 アコ : 「それが何であるか、それが危険かどうかはまず見つけてからでしょう?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「そしてそれを探す理由は」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……あ……それは、そうですね……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「生徒達への被害とか、危険ではなく」

[メイン2] 天雨 アコ : 「"レゲネイド関連が日常へ漏出する事"」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……まさしく、その通りです。」

[メイン2] 天雨 アコ : 「任務の形とお考えください」

[メイン2] 香風 智乃 : 「私達UGNの仕事は……レネゲイドの秘匿に、ありますからね……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「私たちは日常と非日常の境で今仕事しています」

[メイン2] 天雨 アコ : 「被害への対処、危険物の排除は」

[メイン2] 天雨 アコ : 「既に非日常です」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……そう、ですね」

[メイン2] 天雨 アコ : 「今は見定める、それだけで良いのですよ」

[メイン2] 香風 智乃 : 「その行為に働いてしまうとなれば、もうそこは……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「─────日常ではない、『非日常』……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「…まあそうかどうかはまだわからない事をよくお考えください」

[メイン2] 天雨 アコ : 「良いですか?」

[メイン2] 香風 智乃 : ……なるほど、やはりアコさんは、頼りになる御方ですね。

[メイン2] 天雨 アコ : 「警察とは事件だと決めつけて調べますか、人死と想定して向かいますか?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……違いますね」

[メイン2] 天雨 アコ : 「その通り、彼等は何が起きたかをまず調べます」

[メイン2] 香風 智乃 : アコの言葉を、メモに書きながら。

[メイン2] 天雨 アコ : 「私たちがそれを先に見据えてしまう事は」

[メイン2] 香風 智乃 : ふんふんと頷き。

[メイン2] 天雨 アコ : 「『日常』の中に『非日常』が有ると決めつけることになります」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あ……」

[メイン2] 香風 智乃 : ………なるほど……レネゲイド反応があったからって、本当にそこで『非日常』的出来事が起こっているかどうかは……分からない。

[メイン2] 天雨 アコ : 「私たちは『非日常』の側から『日常』に迎合することを決めた、そうでしょう?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……はい、共存の道を、選んでます」

[メイン2] 天雨 アコ : 「ならば、その目は」

[メイン2] 天雨 アコ : 「『日常』の側から見据えるべきですから」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……なるほど……」
メモを書きながら、頷き。

[メイン2] 香風 智乃 : 「……アコさんって、やっぱりこう……すごい方、ですね」

[メイン2] 香風 智乃 : 視線をアコの方へ移し。

[メイン2] 香風 智乃 : 「確かアコさんは……本部エージェントの方、でしたよね……?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「…?まぁ一応」

[メイン2] 香風 智乃 : 「まだ知識不足なので、少し偏見が入ってしまいますが……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「ええ」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……本部エージェントは、『非日常』を取り除くためには、手段を選ばない方が多い、と聞き及んでます」

[メイン2] 天雨 アコ : 「ああ…」

[メイン2] 香風 智乃 : 「でも、アコさんとはそれとは違うような……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「まあ、そうですね」

[メイン2] 天雨 アコ : 「私はある尊敬する人を支える為にこの立場になっただけです」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ある尊敬する人……?」

[メイン2] 香風 智乃 : 一体、どなたなのでしょうか……。

[メイン2] 天雨 アコ : 「まあ、端的に言えば上司というやつですが」

[メイン2] 香風 智乃 : 本部エージェントでありながらも、日本支部の考えと差異を生じない。
……日本的な思考の、エージェントさん。

[メイン2] 天雨 アコ : 「私はその人を支えるのならば別に本部でも支部でも構わない、それでいいのと…そして」

[メイン2] 香風 智乃 : そんなアコさんの、上司さん……。

[メイン2] 天雨 アコ : 「そも、こういう場においては手段を選ばないというのなら」

[メイン2] 天雨 アコ : 「その場に一番合う一手を打つのが賢いでしょう?」
冗談めかして

[メイン2] 香風 智乃 : 「……なるほど……!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「郷に入っては郷に従え、ですね!」

[メイン2] 香風 智乃 : 習ったばかりの用語を使うように、テンションが上がるチノ。

[メイン2] 天雨 アコ : 「そうとも言えます」

[メイン2] 天雨 アコ : 「というか、まー」

[メイン2] 天雨 アコ : 「なんでも力ずくで解決できるならUGNなんて要りませんよ」

[メイン2] 香風 智乃 : 「むむ、確かに……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「日常が無いと呼吸できないお魚さんがオーヴァードでしょう?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ええ、まさしくその例えの通りです」

[メイン2] 天雨 アコ : 「なら、それを守るのは繊細にやってもいーじゃ無いですか」

[メイン2] 天雨 アコ : 「私は嫌ですよ、例えば」

[メイン2] 天雨 アコ : 「何か事件があればすぐ人死がチラつくような殺伐とした場所なんて」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あ、あはは……ちょっと、私は居づらいかも、ですね……」
……"お姉ちゃん"らしくはありませんが……。

[メイン2] 天雨 アコ : 「良い事ですよ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「それは貴女が今の『日常』に迎合してる事ですしね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ふふ、なるほど……言われてみれば、そうですね……」
メモに、アコの言葉を書きながら。

[メイン2] 香風 智乃 : 「とても勉強になりました、ありがとうございます……!」

[メイン2] 香風 智乃 : ぺこりと、御辞儀をする。

[メイン2] 天雨 アコ : 「まあ、アレです」

[メイン2] 天雨 アコ : 「私は私も、その尊敬する人も」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ふむ!」
夢中になって、アコに話に耳を傾ける。

[メイン2] 天雨 アコ : 「特に脅かされず、ただ暮らせる日常があって欲しいですから」

[メイン2] 天雨 アコ : 「レネゲイドを知っていたとしても…」
ゆるりと笑って

[メイン2] 香風 智乃 : 「……なるほど、人と、オーヴァードの共存……まさしく、UGNの理想……!!」

[メイン2] 天雨 アコ : 「…と、言うよりかは」

[メイン2] 天雨 アコ : 「も少し俗な考えですよ」

[メイン2] 天雨 アコ : 缶珈琲を潰して

[メイン2] 天雨 アコ : 「レネゲイドなんてものがただの違いで終わってくれたら、気が楽でしょう?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「オーヴァードだから争うとか、危ないとか」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ただの違い……」

[メイン2] 天雨 アコ : 「そういうので疲れた時偶に気が滅入るような事が無くなれば嬉しいだけです」

[メイン2] 天雨 アコ : 「少なくとも、あの人はそーでしょうから」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ふふ、その方も、アコさんと同じように、良い人なのですね」
微笑みながら。

[メイン2] 天雨 アコ : にこりと、微笑み返し

[メイン2] 香風 智乃 : 「私、本部エージェントさんへの印象、変わりました」

[メイン2] 天雨 アコ : 「おや、そうですか?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……私は、みんなの"お姉ちゃん"になれるように、こうしてUGNの任務に協力していて……それでもまだまだ、不足している面は多くありますので」

[メイン2] 香風 智乃 : 「だからこそ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「…」
こくりと頷きつつ

[メイン2] 香風 智乃 : 「アコさんのような、立派なエージェントさんに……!なってみたいです!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あ、でもアコさんって、"お姉ちゃん"というよりも……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……"お母さん"……?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あ」

[メイン2] 天雨 アコ : 一瞬ぽかんと

[メイン2] 香風 智乃 : 「き、気を悪くさせてしまいましたら申し訳ございません……!!」

[メイン2] 天雨 アコ : 「…珍しい事を言う子ですねぇ」
くすくす笑いつつ

[メイン2] 香風 智乃 : 「えっと、アコさんってその……包容力があると言いますか……」
あわあわしながら。

[メイン2] 香風 智乃 : 「うぅぅ、珍しい、ですか……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……怒ったりとかは、しません……?」

[メイン2] 天雨 アコ : 「悪い気はしませんけど、お母さんだとしたら働きすぎと怒られますよ」
空き缶を捨てて

[メイン2] 天雨 アコ : 「まあ、頼れる人であれたのなら」

[メイン2] 天雨 アコ : 「それは私がやるべき事をやれたって事でしょうから」

[メイン2] 香風 智乃 : 「はい!アコさんは……私の目指す、"お姉ちゃん"の一人です!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「なので、今回は色々と、勉強させていただきます!」

[メイン2] 天雨 アコ : 「そりゃあ光栄ですよ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「とはいえ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「一番大事なのは『任務』ですからね?」

[メイン2] 香風 智乃 : 「あ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「それが終わった後なら、まー」

[メイン2] 天雨 アコ : 「多少はお話しくらい付き合いますよ」
肩を揺らして

[メイン2] 香風 智乃 : そうです!私達はUGNの仕事で来たわけですから……!

[メイン2] 香風 智乃 : 「……!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「えへへ……ありがとうございます……!」
頭を下げる。

[メイン2] 香風 智乃 : 「あ、ではでは……もしよろしければ、こちらを……」
そう言い、アコに名刺を渡す。

[メイン2] 天雨 アコ : 「おや」

[メイン2] 香風 智乃 : そこには、『ラビットハウス』という名の喫茶店の住所も書かれており。

[メイン2] 天雨 アコ : 「…成る程、貴女の」

[メイン2] 香風 智乃 : 「─────もしよろしければ、この任務が終わりまして、アコさんがお暇な時に……こちらのお店へ寄っていただければ、と……」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……美味しいコーヒー、淹れますので」

[メイン2] 香風 智乃 : ニコ、と笑い。

[メイン2] 天雨 アコ : 「…良いですよ、是非お伺いしましょうか」

[メイン2] 天雨 アコ : 「そうですね、一人では寂しいですし…まぁ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「知り合いでも誘って行きますよ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「美味しい珈琲でしたしね」

[メイン2] 香風 智乃 : 「おぉぉ!それはありがたいです! ……!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「ふふふ、アコさん……コーヒーの味が分かる方、ですね……?」

[メイン2] 香風 智乃 : 嬉しそうで、満足そうな笑みを見せながら。

[メイン2] 天雨 アコ : 「よく飲んでますからねー」

[メイン2] 香風 智乃 : アコさんが普段コーヒーを飲んでいる姿を想像し。
これが、大人のレディ……!と思いながら。

[メイン2] 香風 智乃 : 「では……続きは、また今度、御一緒に!」

[メイン2] 天雨 アコ : 「…ええ、そうしましょうか」

[メイン2] 香風 智乃 : そうして、メモを仕舞い。

[メイン2] 天雨 アコ : 「…ま、あれですよ」

[メイン2] 天雨 アコ : 「今回見つからないのなら、今度は少し踏み込んだ調査が行われます」

[メイン2] 天雨 アコ : 「"そういうもの"です」

[メイン2] 香風 智乃 : 「……ええ」
頷き。

[メイン2] 天雨 アコ : 「教室の改装だとか、薬品の清掃とか」

[メイン2] 香風 智乃 : また、仕事人としての表情に変わり。

[メイン2] 天雨 アコ : 「当たり障りのない日常は日常のまま」

[メイン2] 天雨 アコ : 「なので」

[メイン2] 天雨 アコ : 「安心して行きましょうか」
にこりと

[メイン2] 香風 智乃 : 「……はい!」

[メイン2] 香風 智乃 : 「─────何が『非日常』なのか……探しましょう!」
にこ、と笑い返す。

[メイン2] 天雨 アコ : 応えるように頷いて、そのまま向き直り

[メイン2] 天雨 アコ : 夕日の染める校舎の中に二人の"生徒"が戻っていく

[メイン2] 天雨 アコ : 何、そこに違和は残らない

[メイン2] 天雨 アコ : おしなべて学生というものは『非日常』に憧れる、その姿も『日常』なのだ

[メイン2] 天雨 アコ : だから、その二人の足跡は

[メイン2] 天雨 アコ : 結局『日常』に紛れるのだった──

[メイン2] 天雨 アコ :  

[メイン2] 天雨 アコ :